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1999年12月 9日 (木)

第3回 中野栄二調教師に聞く

 12月の初旬、高田馬場の事務所で中野栄二調教師の話を聞く機会があった。
 世間で騒がれるような血統の馬はいないのに、関東のランキングで上位に位置するにはそれなりの調教法があるのではないか。その秘密が聞きたかった。

「調教時計は気にしないですよ。問題はリラックスして、いいリズムで走ったかどうか、その後の息づかいはどうだったかが問題なのであって、私は手帳に調教タイムを記録したことがない。馬体重も同じです。一切気にしない。」
「では、ほかの調教師の方々と何が一番違う点なんですか。」
「徹底的に歩かせること。それも早足でね。コースを走ることより大事なんです。若い頃イギリスに研修にいって教わったことですけどね。それで6割は仕上がる。後はさーっと流す程度のキャンター。これが2割、残りの2割が手入れを入念にすることです。」
「早足だけで運動量をこなすというと、厩務員の方々は大変ですね。」
「そうですね。大変です。ただ、うちにはすごい血統の馬が来るわけではない。でも、われわれの努力で1勝はできると思うんです。何とか勝たせて上げたいという気持ちが、今のところ成果を上げているんじゃないかなと思います。」
「じぁ、どのレースを使うかはかなり考えている?」
「どこなら勝てるのか。それに一番頭を使いますね。私が一番真剣なのが番組表を見てる時間でしょうね。それには日頃からその馬の個性と可能性を引き出せるような調教が必要なんです。画一的にならないように、マンネリにならないように、サラブレッドが楽しみを感じるような調教ができるように、気を使っています。」
「先生はあまり血統のことも気にならないようですが。」
「気にしないといったら嘘でしょうけど。馬を選ぶとき、真っ先に眼を見るんです。体や脚は成長と調教で変わる。でも、眼だけは変わらないんですよ。キリッとした眼の馬がいいですね。」

 奥さんと娘さんを含めての、少人数の内輪の話だったから、聞きにくいことも聞けた。
 中野調教師が騎手の時代、アイネスフウジンでダービーを制したことはすでに日本競馬の歴史になりつつあるが、その栄光の翌年、1勝もできなかったという。
「大変だったでしょう。」
「その年の年収は200万円でしたから。」
 奥さんがあっけらかんと答えてくれたが、優勝劣敗、結果だけがものをいう世界だけに、1勝もできないと生活も苦しかったのではないか。どうやって生活してたのだろう。人情話ではないが、栄光の影にある苦節の時代のことに、ほろりときてしまった。

 そういえば、スプリンターズ・ステークスにトロットスターを登録するといっていた。
 がんばれ!!!

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