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1999年12月20日 (月)

第5回 おヒゲさん

 ヒゲの博労・米田氏がニュージーランドから帰ってきて、最近よく行く新宿のおでん屋「おぎん」で土産話を聞く。
「西田さん、当たっちゃったよ。トライフェクタ(3連単)。1、2着はこれと決めて3着はわからないから、総流ししたらさ、人気薄が3着。」

 300倍以上もついたらしい。海外で大きな馬券を当てると、すごく得した気分になるものだ。わたしも昨年のブリーダーズカップでは、当たり馬券で旅費もおみやげ代も全てまかなうことができた上、持っていった現金も増えて帰ってきた。海外の馬券は馬単や3連単が中心。なかなか当たらないけど、当たればでかいし、楽しみも大きい。

 米田氏とは昭和23年生まれの同い年のよしみもあって、一緒に北海道やブリーダーズカップに行ったりと、つきあいも長くなってきた。博労という言い方は古くさいが、辞書によると「牛馬の優劣を見分ける、牛馬の売買・周旋をする人」(小辞林・三省堂刊)とある。要するに、牧場をまわっては良さそうな馬を見つけて、馬主に売るのが本来の仕事。ただ、厩舎の選定とか、調教師との打ち合わせ、育成場や調教のチェックとか、馬主に代わってしなければならないサービスも多岐にわたる。そのため、自宅は東京にあるのだけど、年中、北海道と美浦、東京を、また全国の競馬場を行ったり来たり。最近は海外も多い。

 米田氏は大学を6、7年かかって卒業後、血統センターを経て、20代後半からいまの仕事に携わってきたが、人なつっこい風貌と愛嬌のある性格からか、その世界では「おヒゲさん」と愛称で呼ばれることが多い。

 ただ、米田氏は顔の上下が逆転、ヒゲは立派なのだが頭髪がない。
 「オヤジもハゲてたからな。親戚もハゲばかりだし。遺伝だから」
と気にすることもない風だった。

 ところが、今年一緒にブリーダーズカップに行ったが、出発前からアメリカで評判の毛はえ薬「老源(ROGEIN)」を買うつもりで、いろいろ調べもしてきたらしい。(ちなみに昨年は例の「バイアグラ」だった。)
 かくいう私もすっかり頭髪が薄くなり、頭頂部は無毛である。
 「お父さんもアデランスにしたら」
と、子供にちゃかされるこの頃、気にならないわけじゃない。
 「ROGEINなら私も使ってますよ。1カ月くらいになるけど、ほら、産毛みたいなものが生えてるでしょう。」
 アメリカでステーキハウスを経営する岡部氏が、薄くなった頭頂部をあられもなくおしひらき、産毛の存在を力説するに及んで、私も少しその気になった。
 駄目もと、ということであれば気も楽だ。岡部氏から3セットを手に入れ、アメリカから帰ってからは、朝晩、鏡の前でゴシゴシ刷り込むのが日課になった。
その甲斐あってか、最近徐々に効果が現れてきていて、少しうれしい。

 「どうだ。少し生えてきただろう」
 自信を持って子供に聞いたら、「べつに」という反応しか返ってこなかったが、間違いなく生え始めているのだ。
 米田氏も髪の毛に勢いが出始め、お互いにハゲ頭をさすりながら、
 「いやー、これはすごいね。生えてきたよ。髪がふさふさになってさ、ひと間違いされたらどうしよう」
と余分な心配をしながら楽しんでいる。今度、市丸さんにも教えてあげよう。
 

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