2017年11月21日 (火)

第1338回神騎乗

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 M・デムーロ騎手の快進撃が止まらない。
 先週のG1マイルCSは3歳馬ペルシアンナイトで勝ち、前週のエリザベス女王杯(モズカッチャン)に続いて2週連続のG1制覇。今年の国内G1戦でJRAタイ記録となる6勝目をあげた。

 春のオークスの2着から始まって、これで10戦連続G1戦で3着内を達成したが、「スポニチ」には、M・デムーロ騎手の複勝を転がすと、1000円が460万円になるという記事も出ていた。今週のジャパンカップでの騎乗馬は未定のようだが、はたしてどこまで続くのだろう。

 マルターズアポジーの逃げて始まった今年のマイルCS。直線半ば、中団から脚を伸ばしたエアスピネルが先頭に立つところ、内からレーヌミノルが馬体を合わせに行くが、エアスピネルは譲らない。ゴールの手前50メートル、後方から内に入れ、更に馬場の真ん中に持ち出して、エアスピネルの外から襲いかかったのが、M・デムーロ騎手のペルシアンナイトだった。エアスピネルがそのまましのぎ切るかと思ったが、勢いはペルシアンナイトにあったようで、ハナ差でペルシアンナイトに凱歌が上がった。ペルシアンナイトの上がりは33秒9と2番目だったが、やや重の馬場状態を考えると、差し脚の鋭さは評価が高いだろう。

 勝ったペルシアンナイトは4番人気、2着のエアスピネルは2番人気、3着は7番人気のサングレーザー。1番人気のイスラボニータは5着だった。3連単は5万5890円。

 2着エアスピネルの手綱を取ったのはムーア騎手だったが、ほぼパーフェクトな騎乗だったはず。M・デムーロ騎手は、そのパーフェクト騎乗をも上回ったのだから、もう「神騎乗」というしかない。

 東京スポーツ杯2歳Sは圧倒的1番人気のワグネリアンが、2着に上がってきたルーカスに3馬身差をつけて快勝した。直線、後方から追って残り200メートル地点で先頭に立つと、あとは後続馬たちを引き離す一方の強い勝ち方だった。ワグネリアンはこれでデビューから3戦3勝。スピード指数上でも、現時点で世代のトップに立ち、クラシック戦線に向けて大きく視界が開けたレースになった。
 2着は2番人気のルーカス、3着は3番人気のシャルルマーニュ。3連単は820円という堅い配当だった。

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2017年11月14日 (火)

第1336回スローペースの前残り

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 今年のエリザベス女王杯を勝ったのは、M・デムーロ騎手の3歳馬モズカッチャンだった。直線、早々と先頭に立ち、そのまま押し切ろうとするクロコスミアを、最内をついたモズカッチャンがゴール前、きれいに交わしてクビ差で勝利をつかんだ。

 クインズミラーグロが逃げ、2番手にクロコスミア、その後ろにマキシマムドパリ、ヴィブロス、モズカッチャンたちが続いた。スローペースで上がり勝負になったが、結果的には勝ったモズカッチャンも、2着のクロコスミアも先行していた馬たち。中団から追い込んで上位に食い込んだのは、最速の上がりタイムで3着のミッキークイーンだけだ。

 先行馬たちが楽に流れに乗っていた分、中団以降に控えた馬たちにはチャンスが薄いレースになってしまったようだ。1番人気に支持されたヴィブロスは、直線で他を圧倒する鋭い差し脚が見られず、なだれ込んでの5着。また、2番人気のルージュバックは後方から脚を伸ばすものの9着までだった。

 モズカッチャンは5番人気、2着のクロコスミアは9番人気、3着のミッキークイーンが3番人気で、3連単は12万7540円の高配当になった。

 それにしてもM・デムーロ騎手は今年G1を5勝目。ルメール騎手もここまでG1を4勝しており、日本人騎手は3勝の武騎手がトップ。技術の差というか、世界のトップを走ってきた騎手と、日本の人並みの騎手たちとでは、もはやレベルの差は明らか。競馬は騎手なしには始まらないが、馬券も外国人騎手抜きには勝てない。

 武蔵野Sも荒れた。勝ったのは6番人気のインカンテーション、2着は8番人気のサンライズソア、3着が15番人気のアキトクレッセント。

 ベストウォーリアが逃げて、比較的ゆっくりとした流れになったことも幸いしたのだろう。いずれも2、3番手で先行した馬たちが上位を占めて、後方から追い込んだノンコノユメ、カフジテイクは4、5着がやっとだった。3連単は178万円超の高配当。

 福島記念もスローペースになった。2番手で先行した3歳馬ウインブライトが、直線に向くと果敢に先頭に立ち、ゴール前、押し寄せる各馬の追撃をしのぎ切って、2つ目の重賞タイトルを手にした。2着に3番人気スズカデヴィアス、3着に10番人気ヒストリカルが入った。3連単は7万5420円。

 デイリー杯2歳Sもスローペース気味の流れ。最速の上がりタイムで駆け上がってきた5番人気のジャンダルムが完勝。4番人気のカツジが粘って2着、3番人気のケイアイノーテックが3着。人気になったフロンティアは差し脚の鋭さがなく4着に下がった。

 スローペースで先行馬が活躍するレースが多かったが、改めて、「馬券は先行馬から」が基本だと教えられた開催だった。かなり寒くなってきたけど、2週続けて秋晴れの良馬場。競馬日和が続く。

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2017年11月 7日 (火)

第1334回完璧な勝利

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 東京のアルゼンチン共和国杯は、1番人気の3歳馬スワーヴリチャードの快勝で終わった。スワーヴリチャードは好スタートから内ラチにつけ、中段の前々でレースを進めた。コースロスもなく、直線に向くと内ラチの3番手に浮上。前を行くマイネルサージュ、カレンミロティックをあっさりと交わして、一気に差を広げた。追ってくる馬たちに差を詰められることもなく、余力十分の勝利だっただろう。

 ダービー2着以来の休み明けのレースで、初めての古馬戦。ハンデも56キロと3歳馬としては少し見込まれていただけに、スワーヴリチャードにとっても試練のレースだったはずだが、いくつかの課題も難なくクリアして、スピード指数も上々。先々に期待の膨らむ勝利だった。

 2着に7番人気のソールインパクト、3着に3番人気のセダブリランテスが入り、2番人気のトップハンデ馬アルバートは4着だった。3連単は1万2060円。

 ダートの重賞みやこSは、2番人気のテイエムジンソクが圧勝した。
 テイエムジンソクは大外枠から4番手に進出。3コーナー過ぎ、馬なりのまま先頭に立つと、あとは後続馬を引き離す一方で、テイエムジンソク1頭だけ、強さが際立ったレースぶり。指数の高さでも抜けた存在だっただけに、力通りの圧巻の勝利といえそう。

 2着に先行して粘った9番人気のルールソヴァール。3着に3番人気のキングズガードが入った。3連単は6万8120円。

 スローペースになった京王杯2歳S。中団に控えた1番人気のタワーオブロンドンは、直線残り200メートル地点から追い出されると、鋭い脚を使って完勝。1番人気の期待に応えた。上がりタイムは最速の33秒2。完璧な勝利だった。

 2歳牝馬のファンタジーSもスローペース。後方から大外一気の脚で駆け上がってきたのが5番人気のベルーガ。逃げ粘ったコーディエライトが2着。1番人気のアマルフィコーストは中団からよく追い込んだが、わずかに届かず3着まで。

 先週の土曜日の東京5レース。ダート1300メートルの新馬戦でミスターメロディが逃げて後続に8馬身の差をつけ、レコードタイムで勝ったが、そのスピード指数は81という高レベルだった。81の指数は現2歳世代のトップに位置するもので、今後の活躍に注目が集まる。

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2017年10月31日 (火)

第1332回極悪馬場の内と外

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 前日から激しい雨が続き、天皇賞(秋)は、不良馬場になった。

 雨中の熱戦を制したのは1番人気のキタサンブラック。直線、キタサンブラックを追い続けた2番人気のサトノクラウンが2着。3着は13番人気のレインボーラインだった。3連単は5万5320円。

 スタートで出遅れた1番人気のキタサンブラックは、開いた内ラチを進んで徐々に前に位置をあげていく。サトノクラウンも中団の内から進出して、3コーナーでは2番手に取り付いた。

 4コーナー。不良馬場のため、多くの馬たちが外に進路を取って、コースの内は大きく開いた。4コーナーで2番手につけたキタサンブラックは馬なりのまま、最内から脚を伸ばすと、早々と先頭に立った。武騎手はキタサンブラックを少しづつ外へ外へと誘導しながら、必死に追い続ける。直線で一瞬、仕掛けが遅れたサトノクラウンも、M・デムーロ騎手が鞭をふるってキタサンブラックに激しく迫ったが、ゴールまでクビ差が詰めきれなかった。3着のレインボーラインも道中はキタサンブラックのすぐ後ろにつけ、4コーナーでは最内から外に持ち出している。

 不良馬場のため、4コーナーで荒れた内を避ける馬が多かったが、結果的には、最内をついて伸びた馬たちが上位を占めたわけで、あそこまで極悪馬場になると、コースの内外の差はあまりなかったのかもしれない。そうだとすれば、コースロスの少ない内を通った馬たちが有利になるはずだろう。

 キタサンブラックの現役最強馬の証明と、完全復活だけでなく、スタートでの出遅れのアクシデントを騎手の判断でカバーして、見事に勝利をつかんだ武騎手の「神騎乗」への称賛も止むことがない。

 京都のスワンSは、雨で重馬場になった。ゴールまで続いたサングレーザー、ヒルノデイバローの叩き合いは、アタマ差で2番人気のサングレーザーが勝利をつかんだ。12番人気のヒルノデイバローが2着、3着は1番人気のレッツゴードンキだった。

 2歳牝馬の重賞アルテミスS。サヤカチャンがしぶとく逃げ粘る中、ゴールまで残り200を切った地点で先行していたラッキーライラックがサヤカチャンをとらえて差し切り勝ち。2着は単勝万馬券のA馬13番人気のサヤカチャンが残った。3着も2、3番手で先行したラテュロス。3連単は30万円を超す高配当になった。

 10月に入って、週末に雨が多い。秋の東京開催は9日間で、芝の良馬場は3日しかなかなく、ダートでは終日良馬場だったのは1度もない。京都も同様で、芝での終日良馬場は2日だけ。ダートは1日しかなかった。 しかも、季節外れの台風の影響で、2週続けて史上最悪の馬場状態になった。今後、不良馬場で力を出しきれなかった馬たちの取捨がより難しくなりそうだ。

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2017年10月24日 (火)

第1330回不良馬場をものともせず

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 雨でぬかるんだ不良馬場の菊花賞を制したのは、M・デムーロ騎乗のキセキだった。

 キセキはゆっくりとスタートして後方から。前走、神戸新聞杯は最速の上がりタイムで2着に上がってきており、戦法に迷いはなかった。2周目の3コーナー過ぎ、満を持して動き出し、最後の4コーナーでは大外の7番手にまで押し上げた。内ラチを開けた馬場の中央、ダンビュライト、クリンチャー、ポポカテペトル、ミッキースワロー、アルアインなどが、必死に叩き合い、しのぎを削る。直線半ば、ゴール前200メートル地点で、先に抜け出した馬たちをキセキがとらえると、後はゴールまで一気呵成に引き離していく。ゴールでは後続馬たちに2馬身の差をつけた。

 2着は10番人気のクリンチャー、3着は13番人気のポポカテペトル。1番人気のキセキが勝ったものの、2、3着は人気薄。3連単は55万円を超す高配当の決着になった。

 菊花賞はスローペースだったが、キセキの上がり指数は+25と、スローペースを補って余りある差し脚を見せ、まさに完勝といってよいパフォーマンスだった。2011年、名馬オルフェーヴルが不良馬場のダービーで驚異的な+30の上がり指数を示し、その後に世界でも活躍を見せたが、キセキの底力もオルフェーヴルに近いものがあるのかもしれない

 キセキの勝ちタイムは3分18秒9、上がりタイムは39秒6だった。2000年以降の菊花賞の勝ちタイムで最速だったのは、2014年トーホウジャッカルの示した3分01秒0で、最も遅かったのは2001年のマンハッタンカフェの3分07秒2だ。(ちなみに勝ちタイムの平均は3分04秒17)。キセキの勝ちタイム3分18秒9と比べると最大17秒9の差があり、平均値と比べても14秒73の開きがある。

 この差はひとえに土曜日から降り続いた強い雨に、京都の馬場が不良にまで悪化したことによる。計算の結果、菊花賞当日の馬場指数は50を超す数値になったが、これまで、不良馬場といってもここまで悪くなることはなかった。最近の異常気象の一端が垣間見えるような馬場指数だった。

 当然、不良馬場で力を出せなかった馬もいるはず。私は先行するだろうと思ってサトノアーサーから馬券を勝ったが、後方からのレースで、全く当て外れ。直線も全く伸びなかった。

 土曜日、東京の富士Sも雨で馬場状態は不良。先行して直線、早めに先頭に立ったエアスピネルが2馬身差で1番人気の支持にこたえた。2着は4番人気のイスラボニータ、3着は11番人気クルーガー。3連単は5万980円。

 東京の日曜日は強い雨が続き、土曜日の不良馬場以上に馬場が悪くなった。
 自然には逆らいようがないが、さわやかな好天の秋競馬はいつ戻ってくるのだろうか。

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2017年10月17日 (火)

第1328回スタミナ比べ

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 今年は雨のなかの秋華賞になった。1番人気のアエロリットは最内枠から2番手で先行した。逃げるカワキタエンカのつくる流れに乗って、4コーナーに差し掛かる。直線に向き、そこから一気に差し脚を伸ばすと期待されたが、外から勢いよく差し脚を伸ばす馬たちとは、明らかに脚色が違った。抗することもなく交わされ、内ラチでもがきながら馬群に飲まれていった。

 馬場の真ん中から鋭く差し脚を伸ばしたのは3番人気のディアドラだった。ディアドラは最後方からのレースになったが、3コーナー手前で最内に入れて徐々に進出。直線、馬群を割るように長くいい脚を使って、前を行く馬たちを一蹴。3歳牝馬最後の1冠を手にした。2着は4番人気のリスグラシュー、3着は5番人気のモズカッチャンだった。
 3連単は1万4760円。

 ディアドラはオークス4着の後、札幌の2000メートルHTB杯を勝ち、前走は中山の2000メートル紫苑Sも勝って、2000メートルの距離の経験値と実績では最上位といえた。秋華賞がカワキタエンカの逃げで、スローペースにならなかったこと、加えて雨でパワーを必要とする重馬場になったことも味方したのではないか。

 片や、ペースと重馬場に力を発揮できなかったのが1番人気で7着になったアエロリットだろう。もともと1800メートルまでしか経験がなく、良馬場が得意な素軽いスピードタイプの馬だけに、2000メートルの距離で、スタミナの問われる重馬場では少し分が悪かったのではないか。「もしも良馬場だったら」と思わないでもないが、やっぱり距離には限界があるのかもしれない。

 府中牝馬Sは、超スローペースで逃げた5番人気のクロコスミアが、ゴールまで逃げ粘って、重賞初制覇を果たした。中団から脚を伸ばした1番人気のヴィブロスが2着、3着は後方から32秒9の最速の上がりで駆け上がってきた2番人気のアドマイヤリード。

 単騎マイペースで逃げられたのがクロコスミアの勝因だが、自身の上がりタイムも33秒7にまとめ、直線では後続との差を広げる好騎乗が光った。
 3連単は1万9390円。

 最近読んだ本でおススメは、早見和真著「イノセント・デイズ」。新潮文庫
 途中でやめられなくなり、ラストまで一気呵成に引き込まれる。
 もどかしいほど悲しい。

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2017年10月11日 (水)

第1326回驚きの7歳牝馬

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 今年の毎日王冠を制したのは、5歳馬リアルスティールだった。
 レースは、最内枠からソウルスターリングがハナを主張、スローペースに落として逃げた。ソウルスターリングは直線の半ばまで主導権を握っていたが、直線、坂を上がったところで失速していく。馬場の中央から押し寄せるように上がってきたのが、中団にいたリアルスティール、サトノアラジン、グレーターロンドンで、ともに32秒台の上がりタイムで駆け上がってきて、上位を占めた。

 3、5、4番人気の順で、3連単は2万7280円。
 昨年のダービー馬マカヒキは6着、人気を集めた3歳牝馬ソウルスターリングは8着に負けた。休み明けで本調子にはなかったのかもしれないが、2400メートル戦で世代のトップに立ったスタミナに特徴がある馬たちで、1800メートルの超スローペースに対応する絶対的なスピードには欠けるところがあったのではないか。

 勝ったリアルスティールは、G1ドバイターフを含め1800メートル戦は4勝目。自身の勝ち星は全て1800戦のもので、1800戦は(4111)になった。国内での勝利は全てスローペースのレースであげており、スローペースでの上がりの脚の鋭さには今後も要注意だろう。

 今年の京都大賞典を制したのは、4番人気の7歳牝馬スマートレイアーだった。いつもなら積極的に先行する馬が、この日は馬なりで後方に控えるレースになった。直線に向くと、1、2頭分開いた最内をつき、鋭く切れる脚を繰り出して、前を行くトーセンバジルをとらえ、外から襲い掛かるシュヴァルグランをも抑え込んで、ほぼ1年半ぶりの勝利をつかんだ。
 2着は6番人気のトーセンバジル、3着は1番人気のシュヴァルグラン。

 負担重量に恩恵があるとはいえ、牡馬の1線級に混じって牝馬が勝つのはむつかしい。1997年以降、京都大賞典で牝馬が勝ったのはスイープトウショウ、メイショウベルーガ、スマートレイアーの3頭だけで、スマートレイアー以外は5歳牝馬だった。7歳牝馬ともなると、ピークは過ぎているはず。まさに常識をくつがえす驚きに値するスマートレイアーの勝利だった。

 スマートレイアーはこれまで、1800メートルまでの距離でしか勝っていない。今回の2400メートルは初挑戦の距離だったが、案外、差し脚を生かせる2400の距離が合っていたのかもしれない。

 2歳重賞サウジアラビアロイヤルCは2番人気のダノンプレミアムが圧勝。2着に1番人気ステルヴィオ、3着は6番人気カーボナード。

 ダノンプレミアムは6月の新馬戦勝ち以来のレースだったが、好スタートから2番手に控え、直線、無理なく抜け出す強い勝ち方で完勝だった。後方から追い込んできた1番人気のステルヴィオだったが、勝負のついた後ではいかんともしがたい。

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2017年10月 3日 (火)

第1324回差し脚は別次元

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 秋のG1第一弾、スプリンターズS。
 4コーナー、レッドファルクスはまだ中団の後方だった。直線に向いて追い出しをかけるところで、一瞬、前がふさがりそうになる場面もあったが、前が開いて視界が広がると一気にスパートをかけた。それでもまだ、先頭集団ははるか先。この位置からとらえられるかどうか。

 しかし、直線の急坂を駆け上がってから、レッドファルクスのスピードは1頭だけ別次元だった。逃げるワンスインナムーンを内からとらえたレッツゴードンキを、ゴール前、計ったようにとらえ、クビ差で勝利をもぎ取って、スプリンターズS連覇を達成した。

 5歳牝馬のレッツゴードンキが2着、3着は4歳牝馬のワンスインナムーン。1、5、7番人気の入線順で3連単は3万1850円。

 レッドファルクスの手綱を取ったデムーロ騎手でさえ、4コーナーで「後ろ過ぎる。大丈夫かなと」と思ったという。騎手の不安を一気に払拭した豪脚に、ここは脱帽するしかない。

 G1スプリンターズSでの2勝を含め、レッドファルクスの国内での1200メートル戦は(4010)となった。唯一の3着が今年の高松宮記念だったが、その時、先着を許したセイウンコウセイ、レッツゴードンキにも雪辱を果たし、今年の短距離王のタイトルもぐっと近づいてきたといえそう。

 ハンデ戦のシリウスSは荒れた。
 勝ったのは11番人気のメイショウスミトモ。2着が5番人気のドラゴンバローズ、3着が3番人気のピオネロ。指数上は(Bd-B-Yb)ながら、馬単は7万2370円。3連単も46万円を超す高配当になった。

 スタートからしばらくはペースが上がったが、すぐに流れが落ち着いて、1コーナーを過ぎるとスローペース気味。直線に向くと、終始2番手で機をうかがっていたドラゴンバローズが抜け出してトップに立ち、3番手のピオネロもすかさず後に続く。

 そのまま2頭で決まる様子だったが、ゴール前、中団から一気に駆け上がってきたメイショウスミトモが両者の叩き合いを尻目に、ゴールを先頭で突き抜けて行った。メイショウスミトモのスピード指数は自己ベストに迫る高レベルで、6歳馬ながら、まだまだ頑張れそう。

 中山競馬の後、今年、東京での最後の中日×ヤクルト戦を観に神宮球場へ向かう。9回に松井祐の逆転3ランで勝利。バンザーイ。今年も東京ドーム、神宮に足を運んで、それなりに楽しませてもらったが、圧倒的な強さを誇る広島と比べ、一人一人の選手のレベルの違いを感じさせられたシーズンだった。来年? どうかな?

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2017年9月26日 (火)

第1322回強かったレイデオロ

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 ダービー馬レイデオロの強さが目立った今年の神戸新聞杯だった。

 レイデオロは好スタートから難なく4番手につけた。落ち着いた流れにも折り合いをつけ流れに乗る。直線、スパートの合図を送ると、無理なく加速して堂々とトップに立ち、あとはゴールを駆け抜けるだけだった。ダービー馬だから「当然の勝利」と言わんばかりの、落ち着いたレースぶりは、レイデオロの強さをより引き立てた。

 ルメール騎手はレース後「コンディションは100パーセントじゃない。次はもっと良くなる」とコメントしていたが、次走、ジャパンカップでの好走も想像させるに足る強さだった。

 レイデオロから2馬身遅れた2着には後方から差し脚を伸ばしたキセキが入った。3着はレイデオロを見ながらレースを進めたサトノアーサー。1、2、3番人気の入線順で3連単は3180円と堅い決着になったが、強い馬たちが強いレースで上位を占め、堅い配当も納得できる好レースだったといえるだろう。

 オールカマーは、牝馬のルージュバックが勝った。

 レースはマイネルミラノがスローペースで逃げ、直線もよく粘ったが4着まで。勝ったルージュバックは4番手で先行して、直線、最内から鋭く差し脚を伸ばして、久々に勝利をつかんだ。

 惜しかったのは2着のステファノスだろうか。5、6番手で流れに乗り、直線、馬場の中央から叩き出すように追ったが、ルージュバックに内をすくわれてしまった。3着は中団から伸びたタンタアレグリア。5、1、3番人気の入線順で、3連単は2万150円。

 スローペースの分、上がり33秒台半ばの戦いになって、先行馬たちに流れが向いたレースだった。それだけに、いつもは後方からのレースが多いルージュバックを先行させた北村宏司騎手、ステファノスの戸崎騎手の好判断がもたらした結果ともいえそう。後方から追い込んだのは5着のショウナンバッハが最上位で、後方から追い込みに懸けた馬たちにチャンスはなかった。

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2017年9月20日 (水)

第1320回本番を見据えて

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 先週は、台風を気にかけながらの3日間開催だった。
 菊花賞を目指す3歳馬のセントライト記念は、2番人気のミッキースワローが、直線、1番人気の皐月賞馬アルアインを一気に差し切って快勝した。3着は3番人気のサトノクロニクル。3連単は7230円。堅い決着だった。

 ミッキースワローは後方からになったが、向こう正面では5番手の好位置を進むアルアインのすぐ後ろにつけた。4コーナーを過ぎ、直線に向くと、満を持してアルアインが抜け出を図る。「さすが皐月賞馬。そのまま勝つのだろう」と思っていたところ、直線の坂上、アルアインのすぐ後ろにいたミッキースワローが馬体を合わせる間もなく、吹っ飛ぶように交わし去っていった。上がりタイムは33秒4と、ただ1頭33秒前半台の切れを見せ、2着アルアインに決定的とも思える1馬身4分の3の差をつけた。

 アルアインの手綱を取ったルメール騎手は「状態や反応が100パーセントではなかった。次はもっと良くなる」とコメントしていたとおり、菊花賞の前哨戦と考えれば、上々の内容。ここでの2着が大きな痛手になるとは思えない。

 秋華賞を目指す3歳牝馬のローズSは、8番人気の伏兵ラビットランが勝った。

 ラビットランは後方から。平均ペースで逃げたカワキタエンカが直線でもしぶとく粘るところ、大外から後方一気の脚を使ったのがラビットラン。最内で逃げ粘った6番人気のカワキタエンカが2着。3着は3番人気のリスグラシュー。

 人気を集めたファンディーナ、モズカッチャンは6、7着まで。ともに先行集団につけ、直線は見せ場も作ったが、最後は脚が止まってしまった。
 3連単は33万1090円と、高配当になった。

 ラビットランはダートの新馬戦を勝ち、そのあともダートを2戦。前走は500万条件の中京芝1600を勝った。古馬相手に、後方一気の差し脚が見事に決まったレースだったが、その上がりタイムは33秒0と、出色のレベルだった。ローズS出走メンバーの前走の上がり指数と比べると、メイショウオワラとともに最上位にあり、その点から注目に値する1頭ではあった。本番でも要注意かもしれない。

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